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2015.09.15

「欧米じゃ常識」の罠

 政治とか経済の話でよく「欧米諸国と日本を比べてみた」という話が出ます。「欧米じゃこれが常識だ!日本は欧米に合わせろ」と単純な結論を出す人もみかけますが、元のデータをよく調べると、比較対象がたった3カ国だったり、経済環境がまったく違う国だったり、もともと統計がデタラメだったりしていて、マユツバな事が多いんです。
以前に書いた記事「21世紀版イヤミの生まれる理由」にも通じますが「欧米流がいつも正しくて日本が間違ってるに決まってるだろ」という論法を強引に押し付けてくる人もいるし、欧米流がいつも正しいと本気で信じている人も少々いるからこれも困ったものです。元の調査で5カ国や10カ国調べて、日本がそれに合わせる事でメリットがあると示すならそれなりの議論にもなるわけですけど。単に欧米に合わせようでは根拠が薄いです。(5年後に欧米が変化したらまた迷う)
 また、欧米アジアの区別とは別に、「世界の多数派がこうなんだから少数派の日本は多数派に合わせるべし」という多数派主義も多分に混じっているのでしょう。
例1。死刑廃止か存続か。
たまに欧米は死刑がないと勘違いする人もいますが「欧米じゃ死刑廃止が当然!」と言い切るのはさすがに間違いです。wikipedia 世界の死刑制度の現状を見ると米国が死刑執行を今もしてます。ヨーロッパ諸国がほぼ廃止。
例2。メートルとヤード、ポンド法
たまに「日本もマイル表記にすれば?」という冗談をきく程度ですけど、さすがにこれは米国が世界の少数派。wikipedia ヤード・ポンド法を見ると米国の他は「ミャンマー、リベリアのみ」とのこと。イギリスでは2000年からヤード・ポンドの使用を禁止。いうなれば米国がガラパゴス化している分野です。
例3。奨学金に返済義務は日本独自?
「奨学金に返済義務があるのは日本だけ!」とか言う人に出会いますけど、それ、呼び名と分類の問題です。米国では「学生ローン」と「奨学金」があって、大半は学生ローンが主体。つまり返済義務あり、就職後も何年も支払いあり。米国で「奨学金」(返済義務なし)は少数派。米国の学生ローン問題は根が深くて、ここ10年くらい多数の記事をみます。偶然2015.9.14のwall street journal 米学生ローン返済遅延鮮明に 債務不履行も多数あり。 JB press「アメリカン... 急増する学生ローン債務、デフォルトや延滞も問題に」記事もあり。 返済義務のついた「学生ローン」はフランスにもドイツにもあるみたいですけど、このあたり、学生ローンと奨学金のどっちが多数派なのかはわかりません。
例4。高齢者福祉に税金をたくさん使うべきか
福祉はいろいろな国のモデルがあるので「欧米はこれ、一方で日本はこれ」という論調になりにくいようですがなぜか「北欧と日本」で比較する人が多いようです。おそらく米国の高齢者福祉が貧弱だから手本にならないのかも。とはいえ北欧の高税率を無視して話をすすめると日本で到底実現しないという結論になります。 個人ブログの「... 高福祉国家スウェーデン。その「影」の部分を追う。」もあります。元ネタの書籍は武田龍夫『福祉国家の闘い』中公新書、のようで、「スウェーデンモデルの破綻」記事に紹介されています。個人ブログ記事【福祉の考え方】海外の福祉と日本の現状・アメリカの社会福祉をざっとみた印象では米国は高齢者福祉にはあまり税金を使ってない様子。高齢者が入る施設も家賃は高めで、つまりお金持ちだけ老後の安心が約束されているという社会のしくみのようです。

以上、例1から例4まで、まとまってませんけど、「欧米がこうだから日本はそれに合わせろ」とは言えないものばかりです。あまり「日本すべてが素晴らしい」という偏屈な愛国主義者にはなりたくないですけど、大した根拠なしに欧米に合わせようという議論はたいてい疑ったほうがいいようですね。

参考。DJモーリーロバートソン氏の2015.9.13の発言 『「世界は日本に呆れている」と左派は都合の良いソースのみをコラージュしてプラカードを作る。右派は「日本は実は世界のここと、ここでは尊敬されている。日本を批判する国々がそもそも異常」とこれまたコラージュを作る。多分、両方とも取材していない。捏造比率が高い。』も参考になります。この発言は、togetterまとめ「日本の保守対革新のイデオロギー・歴史認識の対立が収束することは、原理的に不可能... 」の中にあります。

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