「スマホ老眼」は病名ではない
「スマホ老眼」という奇妙な言葉を見かけますが「スマホ老眼」は病名ではありません。便利なマスコミ用語という印象です。ドライアイ、度が強いメガネ、度が強いコンタクト、眼精疲労、遠視、そういったものを「スマホ(スマートフォン)」を使ったあとに感じるようだ」という荒っぽい判断でまとめたものが「スマホ老眼」という言葉を生み出している様子です。
◎言葉の定義:不明です。アイマイなものです。なんとなくぼやける、という症状を(遠く近くに関係なく)スマートフォンを使ったあとに感じているのかな、というおおざっぱなくくりで関連づけているようなものです。
◎とりあげたテレビ番組 2015年6月19日 日テレNEWS24「近くがぼやける…若い世代に“スマホ老眼”」
◎とりあげた新聞記事 2015年10月27日読売新聞「『スマホ老眼』 20、30歳代に増加」
◎対策。よく寝ましょう、作業途中で1時間1回2回は目を休めましょう、という無難なものになります。昔から言われていることとあまり変わりません。まずは何か異常を感じたら眼科に行ってみて何が原因かは調べるのが大切です。パソコンやスマホの作業後に症状を感じるなら瞬きの回数を増やすのもよいと思われます。
◎なぜスマートフォンか? 「スマホ老眼」という名前の定義がアイマイであるし、原因追求も比較検討されてません。単に「そういえばスマートフォンを使い始めてからそうかもね」という、体験談の寄せ集めです。 少し古い時代なら「マンガの読みすぎで近視になったでしょ!」とか「ゲームのしすぎで視力落ちたでしょ!」とか「パソコンの使いすぎで目が疲れて」とか言われてましたが、時代とともに、悪者に仕立てやすい相手が登場してます。眼科医の立場からみると「ここ数日、縫い物を続けてなんだか目のピントが合わなくなったような」という訴えにも似ています。
◎点眼はビタミン。 一般的にはビタミンBが入った点眼で大丈夫だし、目の疲れをとる、イコール、ピント合わせを助ける点眼としてビタミンBの点眼をおすすめできます。 そこで 病院でだす点眼薬と市販の点眼薬の違いです。市販の点眼薬にありがちな、あれもこれも入れた欲張りなものは、血管収縮剤という余計な成分が入ってます。これ血管収縮剤いりだと、点眼の繰り返しでかえって充血が増すという副作用がでてくるので、できれば血管収縮剤(塩酸ナファゾリン、塩酸テトラヒドロゾリン、塩酸フェニレフリン)を含んでいないものを選びましょう。(たぶんこの3つを覚えたら大丈夫じゃないかなと思いますが)
◎スマホ老眼が「急増」しているという根拠は? 読売新聞の記事では「 眼鏡光学出版(東京)が、眼鏡を日常的に使っている1万人に視力の状況を尋ねたところ、老眼の症状を訴える若者(10代後半〜34歳)は、2012年の0・5%から、13年には6・7%に急増した。」と、一見それらしい数字が出ています。 眼鏡光学出版ならそれなりに「近くのぼけかた、遠くのぼけかた」は区別しているでしょうが、近くがぼけると自覚する人、かなりの割合で 、度の強すぎる眼鏡をかけている人がいるので、このアンケート結果をそのまま目の異常と受け取らないほうがいいです。
◎オマケ。広島市周辺で日曜に(隔週日曜に)開いている眼科。セントラル眼科、ソレイユ眼科、八丁堀眼科、森眼科、あたりが隔週日曜か毎週日曜に開いているところです。詳細は各自ウェブで調べてくださいね。
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