(でわのかみ)出羽守の話題をメモしておきます。
ここ数年はtwitterやfacebookでも「出羽守(でわのかみ)」(でわのもり)の言葉が使われるようで、デジタル大辞泉の説明 「でわのかみ【出羽守】」では、「「海外では」「他業界では」のように、何かにつけて他者の例を引き合いに出して語る人のこと。多くは揶揄(やゆ)の気持ちをこめていう。 」とあります。もう少し僕なりに補足すると「海外の事を引っ張り出して得意げに話しているけど中身は大した事ないな」という皮肉の意味が含まれている印象です。
国際比較、とか、別業種との比較、は、参考資料として並べる分には悪くないんですよね。それなりに数字並べて、(ほどほどの信頼性のある)統計を出して、4カ国並べたけど、日本の状況はこうで、じゃあこれから5年で日本で向かう選択肢はこっちが良さそう、または自分のオススメはこっち方向だ、と言うので、いいと思います。例を挙げるなら公共の場の禁煙ルールなら禁煙厳し目の米国英国ドイツフランス、禁煙ゆるめの中国ロシアあたりの状況を書いてもいいでしょう。台湾シンガポールも参考になるかもしれない。
で、単なる国際比較の語り口と、「出羽守」の違いはというと、 「出羽守」の悪い例(1)「ドイツとフランスはあんな風なのに、今だに日本はこんな様子、だから日本はダメなんだ!」と言う日本こきおろしを結論に持ってくる主張のタイプ。改善手順をまるで書いてない。 悪い例(2)「おやまあ日本の役所ってまだこんな風なの、おフランスはとっくにあんな風に切り替えましたよ、オホホホ」と自慢話が中心になるイヤミなタイプ。 悪い例(3)「日本はこんな風でけしからん!◎◎先進国のドイツとフランスじゃ国の予算を投入してる!」と言ってるが別の米国英国じゃまるっきり違う政策だったりして、要は自分の主張に近い国の資料だけ選んでるタイプ。
欧米、と言っても米国とヨーロッパじゃ税金の使い道がかなり違います。で、高福祉高負担(高税率)の北欧を褒める人はぜひ税金と福祉をまとめて論じてほしいものです。 これを書いている僕も自戒の意味も含めて考えてます。過去に自分が書いた文章もどこかに出羽守ぶった自慢話とかあったかもしれないなあ、と。工業、経済、教育、外交、なるほど外国を参考にするのはためになる。でも「この国だけが理想」とか先に結論を出すとそこで考える努力がパタリと止まるんですよね。そしてtwitterの広がった今の時代、下手に「ヨーロッパじゃ絶対こんな成人向け商品売ってない!」と断言しても1時間以内に「これフランスの街中で売ってましたよ」とか反論の写真がすぐに登場するから、無知なままで断言しないほうがいいですからね。
僕が書いた国際比較、関係の昔の記事を探して見ました。同じようなことを何度か書いてますが。
2015年「21世紀版イヤミの生まれる理由」(自分だけは平凡な日本人と同じじゃないという高みにたった視点)と、
『「そんなの日本だけ」はマユツバ』(少し調べると反例がたくさんあることも多い...)と、
『「水と安全はタダ」の元ネタ』(日本人の山本氏がユダヤ人のフリをして書いて売れた本)と、
『日本製品を叩く「国際視点のオレ」達』(隣の芝は青い派、啓蒙派、欧米崇拝派)と、以上4つくらいです。
関連して、twitter発言では 池内恵氏の言う「遠隔地ラディカリズム」ってのもありそうだね。外国在住の日本人で...も鋭い視点だと思います。
画像はwikipediaの出羽国(でわのくに)から。
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