2019.07.07

フォーサム2019京都

学会「フォーサム2019京都」の報告です。眼感染症、眼炎症、コンタクトレンズ学会、涙道・涙液学会、の4部門。


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◎学童とオルソケラトロジーのシンポジウム。オルソケラトロジー(オルソケー)。就寝時にハードコンタクトをつけて昼の近視を軽くする治療、と大雑把に言っておきましょう。今回のシンポジウム、大まかな印象は「オルソケーを慎重に進めつつ淡々と成果を発表する数人の医師」と「大きな声で怒鳴ってオルソケーの欠点を強調する単独の医師」という印象でした。歴史が浅いから推進派と反対派があってもいいんですが大声で怒鳴るとか人の発言途中にさえぎるように言葉をはさむのはダメですよね。さすがに10年とか20年とかの長期報告は今の所ありません。あと、コンタクト関係でありがちなのですが「やめてしまった人の、その後の長期追跡」は困難なので、その辺りを想像力で補うことも大切かもしれません。


◎ 近視進行抑制の関係での発表、いくつかみました。決定打はないというのがこの方面ですが「Myopia Prevention and Outdoor Light Intensity in a School-Based Cluster Randomized Trial. - PubMed - NCBI 」は割と良い研究と思います。大雑把にいうと近くを見る読み書きゲーム作業の時間も近視進行に少し関係するが、屋外で過ごす時間の長短が近視進行に大いに関係するという結果。

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2018.10.15

臨床眼科学会2018

東京国際フォーラムで開催の臨床眼科学会に行ったのでメモしておきます。 (写真は東京交通会館。会場ではありません)

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天気は大体曇りで涼しい印象。時々パラパラした小雨。傘はほぼ不要でした。 講演ではまずRVOの話。Peripheral Laser for Recalcitrant Macular Edema Owing to Retinal Vein Occlusion: The WAVE Trial. - PubMed - NCBI   同じ論文でPeripheral Laser for Recalcitrant (抗VEGF効果と、レーザーと抗VEGF併用、での二者の、大規模比較)。 シンガポールのTin Aung先生による話、よかったです。 Management of primary angle closure glaucoma:What we have learnt from recent trials Tin Aung(Singapore National Eye Center) 他には緑内障ガイドライン関連、マイボーム腺機能不全や病院医院運営の話、前眼部oct 撮影での水晶体変位の統計など。

 その他のお買い物など。靴ひもをなぜかヨネックスの店で発見したので購入。 八重洲ブックセンターでは実践ビジネス英語のテキスト購入。東京在住の古い友人に会えたのでいろいろ近況報告などしながら食事。秋葉原では以前にも増してアニメ関連製品とフィギュア、同人誌の店が増えた印象。秋葉原を歩く外国人観光客らしき人々は単に街を観察するだけでなくて自分で狙った物を探している様子。街の片隅にはわずかに電気パーツやオーディオ製品の店も生き残ってます。 昔話としては1990年代業績低下の頃のマツダ。当時マツダは 月の勤務日数を2日減らしてその分減給し、ただし2日間は他の仕事を自由にして良いとの仕組みだったとの話。今で言う「ワークシェアリング」に近いと感じます。業績落ちた時の企業の対処としては悪くなさそうだと今は感じますが。その他は広島東京間の移動手段の話。 格安航空(LCC 例えば春秋航空やIBEX。ただし羽田か成田かの違いに注意)、サンライズ出雲(広島岡山間は新幹線で岡山からサンライズ)、錦帯橋空港から東京ゆき航空便、夜行バス東京広島、など。

 過去の日記記事は、「臨床眼科学会2015名古屋」と、2017臨床眼科学会など。  

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2018.07.15

フォーサム2018東京

フォーサム2018という合同学会に出席しました。眼感染症、眼炎症、コンタクトレンズ学会、涙道・涙液学会、の4つです。よく会場になる東京国際フォーラムではなくて新宿の京王プラザだったので場所が新鮮でした。京王プラザは新宿駅の西側で東京都庁の付近です。ただ会場ホテル内4階5階と42階との移動はエレベーターが混雑して苦労しました。

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印象に残ったのはロート社提供セミナー「眼の周りのトータルケア」。 皮膚科医矢上晶子先生。フラジオマイシンを含む軟膏での、かぶれの症例は時々あるので要注意。例えばリンデロン眼軟膏、ネオメドロール眼軟膏(どちらもフラジオマイシン含む)。まつげエクステでは、まつげ接着剤(グルー)のメタクリルレート(と、接着剤からのホルムアルデヒド揮発)が眼瞼皮膚炎をおこす。まつげ接着剤(ほぼ瞬間接着剤と同じアクリレート)にもいくつか種類あり、エクステ施術者にも技術のばらつきは大きいようだ。接触性皮膚炎ではまつげビューラーのニッケルやゴム部分も炎症の原因になることがある。二人目演者月山先生の話、 Impact of eye cosmetics on the eye, adnexa,  and ocular surface ( 2016) これが良くまとまった論文(adnexaは眼球付属器)。  まつげダニdemodexの話も一言コメントあり。商品名アイシャンプー、または商品名メシル シャンプー(ロート社)で対処。 三人目宮本先生、化粧品関連コンタクトレンズ汚れのしつこいものにはシード社「ジェルクリン」かロート社「レンズクリア」で対処するのをオススメ、とのこと。 なお参考資料としては、国民生活センター「後を絶たない、まつ毛エクステンションの危害」2015(h27)年資料。

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2017.12.06

ドライアイ講演会

講演会メモ。ドライアイ

Web講演会を開催。
●日時:2017年12月6日(水) 19:00-20:00
●患者満足を科学する 〜ドライアイ自覚症状の視点〜
涙液層のBreakup patternと眼症状
演者:京都府立医科大学 横井 則彦 先生

ドライアイにおける炎症と異物感
演者:日本大学 崎元 暢 先生

ドライアイ患者のQOLに対するジクアスの効果 〜DEQSによる検討
演者:留萌市立病院 宇都宮 嗣了 先生

参考資料

ドライアイ診断基準2016年

ドライアイ診療のパラダイムシフト 眼表面の層別診断 層別治療... - 京都府立医科大学 (横井則彦、加藤弘明)(PDF書類。資料、大きい。27MB) (一部引用、555ページ。 「 図6 TFODを考える上で基本となる4つのBreakパターン Spotbreak(左 上),Areabreak(右 上),Linebreak(左 下),Random break(右 下). Spotbreakは,上皮の水濡れ性の低下(膜型ムチンの障害),Areabreakは,高度の涙液減 少(高度水分減少),Linebreakは,軽症~中等度の涙液(水分)減少,Random breakは, 涙液(水分)の蒸発亢進がそのメカニズムとして推察される 」

「6702 患者満足を科学する 2 ドライアイTFODとTFOTの観点から」2014年記事なので、2016年のドライアイ診断基準の発表前。

◎参考の商品 MMP-9 定量キット 商品名InflammaDry ドライアイが疑われる患者の涙液中MMP-9タンパク質濃度の上昇を検出 

◎参考文献  Prevalence of Dry Eye Disease among Japanese Visual Display Terminal Users Miki Uchino , Ophthalmology Volume 115, Issue 11, November 2008, Pages 1982-1988

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2017.11.21

糖尿病黄斑浮腫メモ

2017.11.21 「糖尿病黄斑浮腫治療における薬剤投与の動向」勉強会メモです。

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座長寺崎浩子教授名古屋大、演者杉本昌彦三重大、日本での失明原因は2014年までは1.緑内障 2.DMR 3.色素変性、 2015年で 1.緑内障 2.色素変性 3.DMR。DMRは3位に下がった。抗VEGFは投与前HbA1cの高い低いにあまり関係なく有効である。という臨床結果。 抗VEGF硝子体注射の自己負担金額の説明、「最初の注射3回まとめて約15万円が自己負担です」という説明が受け入れやすいようだとの現場の声。

以下は参考資料。インスリンの発見の話。 (1)All about記事 インスリン事始め(2) インスリンの発見・歴史 (発見に、4人の人間が大きく関わった話) (2)内科の末廣医院の記事 医療の歴史(26) インスリンの発見 整形外科の開業医だったバンティングが最初のきっかけを作ってインスリンを発見したというのが面白いです。発見者は内科医ではなかった。生理学教授マクラウドは「場所を貸した」という立場。

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2017.11.03

黄斑疾患の講演会

今日の講演会のメモ。黄斑疾患。全員敬称略です。

(1)「広島大学病院でのPDTの現状」定秀文子 ポリープ状脈絡膜血管症(polypoidal choroidal vasculopathy:PCV)に関して。 引用されていたのは EVEREST study report 2: imaging and grading protocol, and baseline characteristics of a randomised controlled trial of polypoidal choroidal vasculopathy
(2)「ぶどう膜関連に対する免疫抑制剤の使用経験」原田陽介  感染性か、非感染性かを最初にしっかり判別して、その後、免疫抑制剤使用。 主にメトトレキサートの役割を説明。
(3)特別講演 「加齢黄斑変性 アフリベルセプトを使った treat and extend」 聖隷浜松病院 尾花 明(おはなあきら) 一つの基本になる論文が2015年のProspective Trial of Treat-and-Extend versus Monthly Dosing for Neovascular Age-Related Macular Degeneration: TREX-AMD 1-Year Results. Wykoff CC他。もう一つは2017年の同じ著者の論文。 "Treat-and-Extend"法はこの論文ではTREXと省略。他にTAEの省略形もあり。アフリベルセプトでは注射間隔が2ヶ月になる人が全体の約4分の1程度。注射間隔が3ヶ月または4ヶ月になる人は全体の4分の3程度。
(オマケ。商品名。アフリベルセプト(Aflibercept)は商品名アイリーア 。 ラニビズマブ(Ranibizumab)は商品名ルセンティス。)

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2017.10.15

2017臨床眼科学会

東京国際フォーラムで開催の、臨床眼科学会に出席したのでメモしておきます。

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10/14土曜。RVOに対する抗VEGF。 Brighter studyでの大規模比較研究では主な結論としてRVOには抗VEGFが有効であり、レーザー光凝固はあまり有効でないとの結論。ただしこれに納得しない眼科医も一部にはいて、、現在はレーザーの実施方法を変えて比較するという試験が進行中という説明。また、 シンポジウム18「眼科保険の抱える未来」も面白い内容。

10/15日曜 朝セミナー、 眼瞼結膜疾患 クラミジア感染の小児の例など。シンポジウムのOCTプラスアルファはやや難解。開発中の検査機械などの成果など。偏光があれこれ、複屈折があれこれ...など。

病院運営プログラム、「地震に対する病医院の備え」。石井 正教授の話は非常に興味深い内容。 石井 正教授の紹介は東北大学、総合地域医療教育支援部 にあり。  石巻赤十字のYouTube動画を一部紹介。【日本赤十字社】石巻赤十字病院 東日本大震災 初動の記録(動画13分。貴重な内容。)

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2017.09.17

眼科コロシアム

勉強会の瀬戸内眼科コロシアム、今回2017年の話に使われた文献などをメモしています。 氏名は全部敬称略です。
土曜日の内容、(短縮タイトル)
三好 マルチ反対派のマルチ、藤田 焦点深度拡張ZXR00V成績
山下 OCT 緑内障スクリーニング、朝岡 緑内障とAI
稲富 角膜内皮疾患のアップデート、佐々木 角膜浸潤にステロイドを
古泉 加齢黄斑変性診療の、近藤 網膜硝子体分野の話題
「山下 OCT 緑内障スクリーニング」   OCTで見るべきポイントは黄斑マップ、乳頭マップであり、  GCIPLD, NFLD, 耳側縫線 temporal raphe の顕在化が有用。c/d比を重視して判断するのは危険。 GCIPLD = ganglion cell-inner plexiform layer defect の略。 参考はAutomated Detection of Hemifield Difference across Horizontal Raphe on Ganglion Cell--Inner Plexiform Layer Thickness Map. Kim YK ophthalmology 2015
「朝岡 亮 東京大学 緑内障とAI」 How Many Visual Fields Are Required to Precisely Predict Future Test Results in Glaucoma Patients When Using Different Trend Analyses? June 2015  Yukako Taketani; Hiroshi Murata; Yuri Fujino; Chihiro Mayama; Ryo Asaoka (10回分くらいの視野検査データを集めないと、その後の視野検査データの進行を正しく予測することはできない、という内容)視野検査、最初の5回程度の結果を数字で出してもバラツキが大きすぎて予想が多いに外れる、との話。
オマケ。トラベクレクトミーを画像解析で評価。Characteristics of early filtering blebs that predict successful trabeculectomy identified via three-dimensional anterior segment optical coherence tomography Akiko Narita氏の論文 British J. of Ophthalmology

「稲富 角膜内皮疾患のアップデート」「アマンタジンの長期内服で角膜内皮障害を生じた2例」石倉涼子 臨床眼科2013 (Parkinson病治療薬 アマンタジン(シンメトリル))


追記。日曜日の内容(短縮タイトル)

830モーニングセミナー
 高橋 萎縮型加齢黄斑変性
900 重安 CL関連ドライアイ眼表面ムチン、丸山 アレルギー結膜炎インバースアゴ
1000堀 難治性ぶどう膜炎免疫抑制剤、三戸 霰粒腫
1115 杉本 見える涙道、後関 眼窩プーリー
1215 橋田 内境界膜剥離の、 國方 Hybrid 27G MIVS for...

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2017.07.16

フォーサム2017大阪

 フォーサム2017大阪という学会でのメモです。感染症、コンタクト、炎症、涙道、の4学会の合同です。会場はグランキューブ。グランキューブはJR大阪駅からやや遠いのが難点。交通手段は大阪駅とリーガロイヤルホテルを結ぶ無料シャトルバスが便利。(昼間は6分間隔くらいだったかも)

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◎抗生物質と、耐性菌の問題。医師と病院だけが取り組む問題でなく医療、農業、漁業、畜産、が関係するとの話。例えばこの資料の第8ページ、 「耐性菌問題を考える」日本学術会議2003年資料。 日本での抗生物質使用の全容(純末換算値)病院内100トン、人への処方薬420トン 、家畜1060トン、養殖魚230トン、農薬400トン、という統計。
◎抗生物質、別の資料。「抗生物質の汎用と抗生物質不使用食品の展望 深澤 茂樹 ・ 深澤 巨樹」。また参考に米国でも家畜用の抗生物質使用が多いとの文章は米国で販売されている抗生物質のうち、家畜用の割合にあります。
◎日曜日のモーミングセミナー8番.。感染性角膜炎の治療戦略。3人目東京歯科大学 山口 剛史医師、角膜感染症治癒後の不整乱視の話。瘢痕が非対称(上下非対称とか左右非対称)パターンの場合はハードコンタクトが矯正視力改善に有効なことが多い。HCLで患者満足度高くなる。
◎血糖値評価のためのコンタクトレンズ型バイオセンサ  三林浩二、医科歯科大。 参考は東京医科歯科大学 センサ医工学
PMDA公式サイトのカラーコンタクト向け注意事項。PMDAというのは、医薬品医療機器総合機構の略称。日本の組織。
◎この日記での過去記事は フォーサム2015大阪と、フォーサム2013大阪です。
写真はアイスモンスター大阪のマンゴーかき氷です。

(追記。 フォーサム2016東京(アイスモンスター表参道)と、フォーサム2014東京、も参考にどうぞ。)

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2017.06.04

網膜の再生医療

6/4日曜日の勉強会メモです。緑内障、網膜再生医療。 場所は広島大学病院、広仁会館。
◎「現在の緑内障濾過手術のいろいろ」県立広島病院、 杉本洋輔氏講演。大事な数字は、「濾過胞感染発生率と治療に関する多施設共同研究(CBIITS)」。5年間の追跡調査。CareNet記事「緑内障に対し線維柱帯切除は有用」、論文はこれIntraocular Pressure Outcomes and Risk Factors for Failure in the Collaborative Bleb-Related Infection Incidence and Treatment Study.
◎理化学研究所、高橋政代氏の講演あり。 話に出てきた「Abduction と Adams氏の論文2009年」はおそらくこれ Anticipation: Technoscience, life, affect, temporality のことでしょう。 概要の中に anticipation technoscience affect optimization abduction preparedness といったキーワードが出てくる。ただし ここでの abductionは筋肉の「外転」でもないし人の「誘拐」でもないし、仮説生成とかの意味らしいです
◎高橋氏が講演の中で、 富田浩史研究チームのチャネルロドプシンを用いた視覚再生の話にも、少しだけ触れていました。参考は「チャネルロドプシン発現神経節細胞の形態学的分類による視機能シミュレーション」

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